【書評】「成熟した大人」が増えれば幸せな世の中に。『人間にとって成熟とは何か』曽野綾子

こんにちは。ぴよちゃんです。

今日の読了本。
「 人間にとって成熟とは何か」曽野綾子さんです。

戦争を経験し、海外での慈善活動も多い著者。
いろいろな価値観に触れてきたからこそ、著者の言葉には「なるほど」とみんなを納得させる深みがあります。

 たいていの人間は極限には立っていない。たいていの人は中間地点で生きている。
(中略)
私たちは先天的にも、運命的にも、常に中間の地点に立つようになっているのだ。私たちはいいばかりの人でもなく、絵に描いたような悪人でもない。よくて悪い人間なのだ。他人もまた同じだ。
(中略)
大人にならない人は、この宿命的な不純で不安定な人間性の本質がよくわからないだけなのだ。

最後のページのこの言葉が本書のすべてを表しています。

白か黒か。善か悪か。勝ちか負けか。前進か後退か。

すべてが二極化されて提示され、二者択一を迫られる世の中。
極論が好まれ、誰かが「悪」だと決めつけたものが、あっという間に拡散されるネット社会。
自分の主張を声高に叫ばなければ存在しないのと同じ、とあおられる社会。

二者択一を迫られる社会はパワフルで分かりやすい。
でもそれは、人間の心の機微を無視した、幼稚な社会なのかもしれない。
曽野さん流に言えば、どんどん成熟からかけ離れていってるのでしょう。

たとえば、先日の大阪の住民投票。
橋下さんがもう少し成熟したやり方をすれば、結果は違っていたかもしれない。
文楽の補助金打ち切りなどに代表される、急進派のイメージがある橋下氏。

「置いていかれる」と不安に思っている人をどうするか。
変化を好まない人に「変わるのもいいかも」と思わせるにはどうすればいいか。
そもそも都構想は「善」で、変わらないのは「悪」なのか。

今回、反対した人に老人が多いらしい、と知って、ネットでは「老害」という言葉が駆け巡りました。

が、お年寄りを「老害」と切り捨てて突っ走るのではなく。
その人たちの不安を取り除くため、ソフトランディングの方法を提示するのも「成熟した政治」だったのでしょう。

近年の電車でのベビーカー問題も、みんなが成熟してないからこそ起きる問題なのですよね。
子どもがいない人は赤ちゃんを連れて移動する苦労を想像してみる。
ベビーカーママは、自分たちが場所を取っていることを自覚して行動する。

そうすれば
「混んでいるところではベビーカーを畳め」
なんて、とても言えないし、
「子ども連れて大変なんだからいいでしょ!」と横柄な態度を取ることもないでしょう。

でも、逆説的な感じではありますが……。
そういう「子どもっぽい人」がたくさんいることも、決して「悪」ではないということ。

世の中、いろいろ腹が立つこともありますが、

 それより大切なのは、そんな細かいことを忘れるために、一人でもいいし、友達や家族とでもいい、楽しいお茶を飲むことだ。
(中略)
そうだ。大切なことは、お茶をいれて、すべての些細な対立は、強靭な大人の心で流してしまえるかどうかなのだ。

これですね。
多少の他人の悪口は言いつつも、さらりと流せる大人になりたいものです。

 

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